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真実

category: 漸花の物語  


皆様こんばんは。

久しぶりの霧花家物語となります。
今回は表にはなかなか登場せず、
そのキャラクターも謎しかない長男さんこと漸花のお話です。
いつもの如く文才はありませんので、
気が向いた方のみお進み下さいませm(_ _)m

グロくはないですが、文章による血の表現があります。
苦手な方はご遠慮下さい。

ぜんか61

 


俺があまり言葉を発さなくなったきっかけの事件があった。
それは俺が18歳の頃。
未だにあれを思い出すのには…慣れないものだな…



「潤花!!!おい、なんだよこれ…しっかりしろよ!!」

目の前に血だらけになって倒れた弟の姿があった。
そんな弟に駆け寄るのは先程帰ってきたばかりの別の弟。
褐色肌の弟、了花は床についた青い髪が血で赤に染まりつつある末弟潤花のすぐ傍に膝を付き
流れる血を止めようと根源の場所を手で塞いだ。

そんな中俺は…指先ひとつも動かせず、ただ呆然と2人の前に立ち
声すら出なかった。

「兄貴何やってんだよ!!医者、医者連れて行かないと…!!」

倒れた潤花は意識が朦朧とし、目も虚ろだった。
このまま死んでしまうのか…
弟が危険な状態だというのに、本当は助けたいのに動けなかったんだ。
了花は医者と口にしたが、この辺り一帯に病院がないことは彼もよく知っていた。
助けたくて焦る気持ちが痛いほど伝わってくるのに。

「くそっ…!俺が助けてやるからな…待ってろよ…!!」

潤花の顔面から流れる赤い血は肌と服を汚し、
そんな潤花を背負った了花の背中もすぐに紅に染まった。
了花が家を飛び出す瞬間、俺を睨んだ気がしたが
相も変わらず俺は何も出来なかった。


自宅に取り残された赤い跡は生々しく
やられた時に飛び散ったであろう雫は壁にまで広がっていた。
とにかくこの跡を消さなければ。
何かに焦ったようにそんな言葉が頭をよぎると、ようやく体が動くようになった。
壁の汚れを取り除こうと布を探す俺の手は、しばらく震えが止まらなかった…



あの背中を見てしまったから



「漸兄さん、ただいま」
数時間後。
記憶の中で瀕死だったはずの潤花が嘘のように元気な姿で戻ってきた。
顔の中心には鼻を跨ぐように一文字の痛々しい傷が残っているものの、
顔色は良く、まるで何もなかったかのようにすら見えた。
だが何か様子がおかしい。
「…?どうかしました?」
俺は怪訝そうな顔をしていたのだろうか。
不思議そうに丸くなった翠色の瞳がこちらを見て揺れていた。
とてつもない違和感。
潤花は敬語なんて喋っただろうか…?
「……ただいま」
潤花とは逆に、その後ろから姿を現した了花には疲弊の色が濃く滲んでいた。
声を掛けるのを躊躇うくらいの様子だったが、この違和感の正体を突き止めたい気持ちが先行する。
「了、潤の様子が…」
床に視線を落としていた了花は俺の言葉が耳に入った瞬間
顔を上げて一瞬泣きそうな表情を見せた。
だがすぐに零れそうな涙を堪えるように目を閉じると、また下を向いて首を横に振った。
「後で言う…」
そう言い残して了花は力ない足取りで自室へと消えて行ってしまう。
残された俺と潤花は、少しの間居間で休息を取ることにした。


2人がいない間に部屋の血は綺麗にしておいて良かった。
潤花と話をするうちに、つくづくそう思った。

「潤。大丈夫なのか…?」
先程まで瀕死だったはずの潤花は、それまで淹れ方を知らないはずだった茶を俺の目の前に置く。
「…うん?何がです?」
温かいカップを両手で包み、口を付けようとした所。また潤花は不思議そうな顔で俺を見つめ返してきた。
姿は潤花だが、違う誰かと喋っているような気分だった。
目の前にいるのは青い髪、翠色の瞳をした14歳の弟に違いない。
だが語り掛けてくる者は全く別の気配をしていた。
「何がって…覚えてないのか?」
あれだけの大怪我をしておいて。
………殺されかけて。
「覚えて…ないです。昨日より以前の事も、実はよく覚えていなくて…」
「………」
潤花は記憶喪失に…?
無理もない程のショックを受けたのはわかる。
だがその事実に俺自信もショックを隠しきれなかった。
「でも兄さんたちの事は覚えてます。漸兄さんと了兄さん。3人で暮らしてきましたもんね」
屈託のない笑顔で話す弟。だが違和感はそう簡単には消えてくれなかった。
でもきっとこれからは、これが潤花なんだろうと、必死に自分に言い聞かせた。
そうしなければ、辛すぎる現実を受け入れられなかった。
「ふぁ…なんだか眠くなってきたみたいです…
 少し早いですが、私は先に寝ますね。
 おやすみ漸兄さん。また明日」
「あぁ…おやすみ」
昨日まで自分の事を僕と呼んでいた潤花はもういない。
背中を目で追ってみても、あの頃の悪戯っぽい弟は消えてしまっていた…


潤花が寝静まった後。俺は了花の部屋で話を聞き、何があったのかを把握した。
了花は潤花を助ける為に邪術を習得し、魂に魔霊が宿っている事。
了花の魂の欠片が混ざった事により、性格と記憶が変わってしまった潤花。

そして何も出来なかった俺。


「見たのか」
一通りの説明が終わった後、了花は低く厳しい声で俺に言う。
寝台に腰掛け、膝に両手を置いて真っ直ぐこちらを見上げる了花からは威圧という言葉がぴったりの空気を感じた。
「潤花をやった犯人を見たかって言ってるんだ。
 …あれは剣で斬られた傷だろ。怪我じゃない」
「………」
「見たんだな。言えよ。俺が殺してやる…」
了花が拳を強く握ると同時、全身から黒いモヤのようなものが湧いてユラユラと揺れていた。
憎しみの心と邪術が反応しているのだなと、その現象については不思議と冷静で。
その時の俺は別の事で頭がいっぱいで、あまり気にならなかった。
「言えよ!!知ってるんだろ、犯人が誰なのか!!」
口を閉ざした俺にしびれを切らした了花が立ち上がり、胸ぐらを掴んできた。
今にも殴られそうな勢いで。
でもその両目からは大粒の涙がボロボロと零れ出ていた。
「頼むよ…兄貴…」
俺の服を掴んだ手は震え、その拳に透明な雫をいくつも落としていく。
その必死な様子と気持ちが痛い程伝わってきて、
頼むよと何度も俺の胸板を叩く了花に
気づけば俺も涙がこぼれていた。


俺は確かに見た。
あの大きな背中を。
血に濡れた剣も。

大好きで。
いつも「よく出来たな」と頭を撫でてくる手が何よりも嬉しくて。
その温もりが欲しくて、知らずに期待に応えようとしていた。

だから何か理由があるに違いないと思いたい。
その名を口にしたくない。
でも……



「父さんだ……」




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2016_03_20

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プロフィール

霧花

Author:霧花
ブレイドアンドソウル真紅鯖在住。
SS撮影や各種創作をして楽しんでいます!
腐/BL/なりきり/自キャラ創作
上記が多めなので苦手な人はお戻り下さいm(_ _)m

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霧花家の三男。誰にでも温厚な性格

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霧花家の次男。兄弟の母親代わり。たまに魔王になる

漸花-Zenka-

霧花家の長男。口数少なく不思議系

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